社会学的ラブソング・改

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未来職安

電書で買った本を積んでいる。
よく考えたら電書だから積んで無い、スマホタブレットに持ってるだけなんだが、勢いで買ってダウンロードしてそのまんま、という。
鬼滅もまだだ・・・

「未来職安」(柞刈湯葉双葉文庫)読んだ。

未来職安

未来職安

  • 作者:柞刈 湯葉
  • 発売日: 2018/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
単行本と文庫で表紙結構違うな、今回は文庫の方が好きだ。
日本人が働かない99%の”消費者”と働く1%の”生産者”に分かれた近未来。
自動運転の車は人間への気遣いもしてくれる、ご飯頼めば渡し鳥が持ってきてくれる、来客の見込みもシステムで解る。
柞刈さんならではの登場するモノの細かさは健在である。
でも”史上最高に楽しい”かというと・・・どうなんだろう。
何より”消費者”と”生産者”の間に壁が。
消費者には生活基本金が支給されるけど”基本”だから贅沢は出来ない。
恐らく生産者になりたくても、頑張ったからなれるとは限らなさそうだ。
「貧困は生産者のせい」と思い込んだ奴が職安刈りにやってくる事もある。
仕事だって事故が起きた際に首になる事で「責任負ってます」と被害者にアピールする事だったりする。
それこそ機械化したらいいじゃんよねー。
システム化したお陰で面倒臭くなったり。

いいなぁ、と思ったのはSF的な世界の日常が描かれている事。
色々背負って闘っていく訳でもなく、特別ではない普通の人(大塚さんと仕事していけるというのは或る種の才能かもしれないが)の暮らし。
「お金より大事なものがあるのが幸せな人生」とか言い聞かせるようにしながら。
他のSFのごっつい話を嬉々として読みつつも「こういう世界でも、何が起こってるか知らずに暮らして死んで(巻き込まれて、殺されて)るんだよなー」と時たま気になっていたのだが、「未来職安」はそちらがメインになってて面白い。
ハッピーな世界でもないんだろうけど、悪くはないな、と。
生産者寄りで読んでるからそう思ったんだろうか。

その他、皮肉はばっしばしに効かせてある。
ちょっと多めにマスタード入れたサンドイッチみたいな。柚子胡椒を薬味にしたざるそばみたいな。

ディストピアみありつつ、めためたゴリゴリSFではないので読みやすいと思われ。
こないだ伴名練・編のアンソロジーについて「難解」「恋愛編とあるけど恋愛小説あんまりない」と仰る方を見たが、そういう人でも大丈夫だと思う。