社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

やっさもっさ

冷え込んできた。
ぬくぬくお布団出さなくては。

「やっさもっさ」(獅子文六ちくま文庫)読んだ。

やっさもっさ (ちくま文庫)

やっさもっさ (ちくま文庫)

崎陽軒シウマイ弁当カバー欲しい!と呟いていたら、友人が横浜のおみやとして買ってきてくださった。その節はありがとうございました。
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受け取ったのは随分前、やっと読めた。

戦後の横浜の孤児院の運営をする亮子とその夫・四方吉を巡る人々のやっさもっさ・・・大勢の人が集まって大騒ぎする*1物語。
亮子は戦争によって虚脱症になってしまった四方吉を疎んじて野心ギラギラさせている。
そこに米軍中尉やら夫人活動家やら滅多に打てない野球選手やら謎のバイヤーやら登場する。
孤児院のスポンサーというか創始者のゴシンさんも一筋縄ではいかなそうである。
亮子はバイヤーから新しい商売を紹介され、四方吉は夜の女達の代筆・訳読をしていたが思い切って家を出て就職するも、その仕事は孤児院の土地買収。
さてどうなる。
打てないし野球は嫌いだが家族の為にプロになった野球選手、男から金を引っ張る為に孤児院から我が子を引き取ろうとする夜の女・・・と登場人物一人ひとりの物語でもある。
吉本新喜劇的な感じがした。
勿論、誰もギャグ言わないし、こけない。
そうではなく。
次から次から個性的な人々が現れて騒動が起こる、観てるこっちは「騙されちゃダメー!」ってはらはらするんだけど、最後は大団円、という人情話なとこが。
ほろ苦いけど、みんな前へ進んでいく。

で、何でシウマイ弁当カバーなのかというと。
作中に登場するシュウマイ・ガールと関係があるのだ。
エンジ色のシナ服を着てシュウマイを売っているのだが、そのモデルが崎陽軒のシウマイ娘なのだそうだ。
そして崎陽軒のシウマイが全国区の人気になったきっかけが「やっさもっさ」。
シウマイ弁当も此れがきっかけだとか。(ネットで見た話)
あゝシウマイ弁当食べたくなった。

*1:解説「獅子文六の横浜愛」による