社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

シオンズ・フィクション

「シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選」(シェルドン・ティテルバウム&エマヌエル・ロテム・編、中村融他・訳/竹書房文庫)読んだ。

なんかぶっ飛んでそうだなー、と思って。そもそもイスラエルの小説って読んだ事無い。
ザイオンズ・フィクション・・・ザイファイってか。
描かれる世界が細かくて独特。
読んでいて全く想像がつかない。
ちょいと読みにくかったのはイスラエル慣れしてないからか翻訳された文章慣れしてないからか単に自分が莫迦だからか。
そんな莫迦でも面白い。
現実がどうであっても、想像する世界は自由なのだ。
「原色の想像力」の座談会で「うどん キツネつきの」がSFか否か議論されていたが、あれがSFじゃないなら「シオンズ・フィクション」の半分はSFではなくなってしまうのではないだろうか。
「シュテルン=ゲルラッハのネズミ」のブリキの物乞いがめっちゃSF。
エルサレムの死神」は一瞬デヴィッド・ボウイ思い出した。デヴィッド、ゾーイって名前出てくるし。

面白かったやつ。
・星々の狩人/ナヴァ・セメル
すべての星の光が消えた世界の子供の話。美しい。
大木伸夫が好きそう。
・信心者たち/ニル・ヤニヴ
イスラエルの小説/SF」と言われたらこういうのを想像するなぁ・・・という感じで面白い。ファンタジーぽいような。
この作者、「作家、編集者、ときに映画監督」で音楽もやってはるという。どんだけマルチなんだ。
・シュテルン=ゲルラッハのネズミ/モルデハイ・サソン
これも「イスラエルの小説/SF」と言われて想像する感じ。こちらはめたくそSF。
この傑作選の中で一番好き。軽快でスリルがあってハッピーで。
・夜の似合う場所/サヴィヨン・リーブレヒト
残酷なんだけど美しい。ラストがすっげーえげつないんだけどな。。。
この物語世界の、別の場所・別の人の物語を読んでみたくなった。
・男の夢/ヤエル・フルマン
何でこうなっちゃたのか訳わかめだが兎に角寝ちゃだめだという。夢だし。
その発想が面白い、何処から思いついたんだろう。
・ろくでもない秋/ニタイ・ベレツ
きれいな筒井康隆
筒井さん、案外イスラエルのSFファンにウケるのではなかろうか。

イスラエルも紙の雑誌厳しいのか。。。