社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

ポリフォニック・イリュージョン

音楽と小説の境界を越えたい、とマツは話していたけど。
そうなるには小説が力不足だったような。。。

「ポリフォニック・イリュージョン」(飛浩隆河出書房新社)読んだ。

ポリフォニック・イリュージョン

ポリフォニック・イリュージョン

  • 作者:飛浩隆
  • 発売日: 2018/05/28
  • メディア: 単行本
”今、稲子が菅波栄純に読んでいただきたい作家第1位”飛浩隆の初期小説、「作家が他人の創作物について書いた文章」、飛さんご自身が自作を語られた文章・対談等から出来ている本である。
マツは多分無理だと思う。
自分が飛浩隆作品に出会う*1、そのもう少し前に出た本。

ところで私は、小説家が他人の創作物について書いた文章を読むのがとても好きである。褒めてる文章もいいし首を傾げている文章はもっといい。激怒してけなしている文章はなおいい。(p.2)

と仰るのえげつないなーと思ったが、この本の文章はどれもお優しい。

小説は「地球の裔」が好きだ。ホログラムであっても、人間の想像を越えた育ち方をするもんなんだな。”見られる”事に影響を受けたり。嬉しかったのか驚かせたかったのか復讐したかったのか。
「いとしのジェリイ」は後の解説で「気に入ってる度0点」と書いておられるけど、自分はこっちの方が好きだ。
「星窓」は何処かで読んだ、何処だったんだろう。
どの収録作もまだそんなにえげつなくないしエ□くない。
マイルドなんだけど、読んでる瞬間に文章に呑まれる、足元から世界がひっくり返される感じは既にある。
人に勧めやすいなこれ(ニヤリ)。

2章以降は文章中に出てくる作品がすごく面白そうで。
読みたい本がわんさか増えてしまって、竹輪咥えて「うーうー」言っている。(丁度良い竹が無かったもので)

ところで「空の園丁」の次があるんだろうか。
対談に「第二部はまだ遠い未来で。でも短編集のほうはまとまって」とあったんで。
廃園の天使シリーズは三部作なんやんね。
その短編集が「ラギッド・ガール」だとすると、まだもう少しあるように思えた。どっか計算間違えたか。
・・・と対談読み進めたら四部構成となる予定、とあった。
すげー苦しい話だが、書く側も苦しいのか。でしょうなぁ。
「グラン・ヴァカンス」も「ラギッド・ガール」も読んでいてしんどい通り越して痛かった。苦しかった。
(だからこそその先の甘美さがたまらない訳で)
こんなん平気の平ちゃんで書いてはったら怖い。

境目を越えうるとしたら、この位の文章の強さと技が必要なのでは。。。
飛さんが邦楽ロックとコラボするとは思えないが。

どうでもいいニュース:
これで何とか借りてきた本を読み切れた、だが「読みたい本リスト」作るのにもう少し時間が掛かりそうである。

*1:確か「自生の夢」