社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

黒猫の夜におやすみ 神戸元町レンタルキャット事件帖

「黒猫の夜におやすみ 神戸元町レンタルキャット事件帖」(三國青葉/双葉文庫)読んだ。
この時の「ネット媒体に『宣伝してください、売れないと続きが書けません』って営業かけてた」の作品である。
猫情報のツイッターだかHPだかにリプしてはったんだったか。
猫いっぱい出てくるもんね。
面白いといえば面白いのだが、”NOT FOR ME”だった。

このテの小説にありがちな「○○ってタイトルにあるけど、他の場所でもいいんじゃね?」というのが無い。
元町である理由が、ちゃんとある。
しかし逆に元町分からない人が読んで雰囲気や距離感掴めるだろうか・・・。
この本片手に元町・北野を巡ると楽しそうだ。

都合良いのを何処まで許容出来るか・・・ってすごく言い方悪いけれど。
日常の謎みたいなんあるやん、それを解くのに多少ではなく”あやかし”的な力に頼っちゃうの、どうなのかな。
(ここ何年も、そういう小説が多いですけど。あくまでも自分の感覚でしかないが。)
猫又なのを皆が受け入れるのは良いとして、こないだの大沢さんの本にあった「善人ばかりでは面白くない」という話を思い出した。
悪人にだって正義はあるし、行動する理由はあって、それは本当は正しいのかもしれない。悪人とは言えないのかもしれない。
今読みかけて止まってるシリーズ*1も、主人公の敵にあたる側にも事情があって、それはそれで同情の余地があるようで。
そちらはこれから主人公達が大変な目に遭うのが分かってるから辛くて読めない・・・。
その反動で「じゃあ」とこちらを読み始めたが、皆が主人公達に好意的、というのも面白くないものだな、と。
「お前なんか認めない」と言いつつナイスアシスト、猫又なの忘れてアタフタ、な人が登場したら面白いのになぁ。
リアル社会が非常に辛い、厳しい。
救いが無いから小説くらいはみんな善人でほっこり*2ハッピーが良いのかねぇ。。。
とはいえDVとか親子関係のややこしいの、そう簡単に解決しないよ。

あと夜のナイトが騎士のナイトになるのは読めてた。バンプの「K」かいな。

正直なところ、これはこれで綺麗に終わってる気がする。
この2人(?)の関係がどうなるかより、この世界の違う人物の物語が読みたいかもしれない。
全然違う人が主人公だけど、物語の中にレンタルキャット店が出てきたりナイトらしき猫や青年が出てきたりする、そちらの方で2人の関係が深まってるのが分かる、とか。

これでもこのテの小説ではまだ面白いと思えた方だ。

*1:天冥の標

*2:標準語化した方の