社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

チグリスとユーフラテス

チグリスとユーフラテス」(新井素子集英社文庫)読んだ。

チグリスとユーフラテス(集英社文庫) 上下巻セット

チグリスとユーフラテス(集英社文庫) 上下巻セット

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • メディア: セット買い
文庫版出た2002年に読んで、実家帰った時にもう一度読みたくなって持って帰ってきたのだった。
遠い未来、惑星ナイン”最後の子供”ルナがコールド・スリープについていた人々を遡るように起こしていく話。
最初の3人は起こされた人、最後の1人”レイディ・アカリ”についてはアカリとルナ2人が語ってゆく。
地球から惑星ナインに移住してきた人類、一時期は繁栄したけれど子供が産まれなくなって衰退していく。
最初に起こされたマリア・Dはルナの母イヴ・Eを知っており・・・というか知らざるを得ない、子供が産まれる事が貴重すぎて妊娠記者会見が行われる時代。
2番目に起こされたダイアナ・B・ナインはナインの人口が爆発的に増えた時代。
3番目に関口朋実はナイン社会に特権階級が出来た時代。
最後に起こされたレイディ・アカリは地球での問題を抱えつつ移民として惑星ナインを開拓しようとした時代。
ルナに起こされた人の手記(?)によって、惑星ナインの各時代に何があったのかを知る事となる。
そして彼女たちは其其の時代の象徴でもある。
生きるとは・・・という物語なんだろう、これ。
マリアは我が子を産む事を望みすぎて”子供を産む”為に生きている。
ダイアナは惑星ナインの制度を維持する為に生きている。
朋実は”描く”、己の欲するままに生きている。
アカリはルナの「何故イヴ・ママは自分を産んだのか?」という問いに答える代わりに”ナインの母”という役割を授けようとする。
ラストはちょっと切ない、他に何とかならなかったのだろうか?と思っていた。けどこれが最適解だったのかもしれない。
人類ではないけれど、惑星ナインに届けられた命は、続いていくのだ。

すっかり忘れてたけど、アキラ酷い事してんだな。
穂高灯という人は何かの技術に特化した人ではない、”普通の人”だけど"人柄”という強い、他のメンバーを支えるモノを持っている。
永遠の存在にしちゃいたかったのかもしれないが。
尊い、偉大な存在として眠り続けたまま死んで愛する人の元に行けない、そんな大きなモン背負わすたぁ、ねぇ。ひどいや。
そういう人だからこそ”レイディ・アカリ”として人の心を纏める事が出来た訳だけど。ウムウ。

今読み返すと「順番、順番一個ずつ」が出てきますな。
「やおよろずの神様承ります」に”順番順番いっこっつ”の神様が出てくるの思い出して、ふふっ、てなった。

どうでもいいニュース:
Wikipediaが雑すぎる。