社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

永遠の森 博物館惑星

上司が小説書いてはる(はった?)らしくて気になっている。

「永遠の森 博物館惑星」(菅浩江ハヤカワ文庫JA)読んだ。

永遠の森 博物館惑星

永遠の森 博物館惑星

地球の衛星軌道上にある巨大博物館「アフロディーテ」の物語。
ややネタバレあり。
ネタバレではないけれど解説読まないでまっさらな気持ちで読んだ方がいいかも。

全世界のありとあらゆる芸術品が収められ、学芸員達はデータベースに直接接続してイメージを思い浮かべる事で検索・データの絞込みが出来るようになっている。
音楽・舞台・文芸全般を担当する「ミューズ」、絵画工芸を担当する「アテナ」、動植物園「デメテル」の3つの部署に分かれているが簡単に割り切れない場合もあるし取り合いにもなる。それを総括・調停するのが「アポロン」。
主人公の田代は「アポロン」の学芸員である。
アポロン」に持ち込まれたり所長に丸投げされたりする謎を解いていく・・・という話。
持ち込まれるのは”美術評論家が絶賛する素人画家の絵””学者の持つ人形””仕掛けのある着物”等・・・そして”「九十七鍵の黒天使」というベーゼンドルファー・インペリアルグランド”。
どれも魅力的なんだ。
個性の強い学芸員達(中には困ったちゃん、と言うには厄介すぎる新人)やアフロディーテを訪れる芸術家・客に揉まれて大変。

「ラヴ・ソング」で描かれるのは、本当に美しいものなのだと思う。客として体験したいよ。
(ていうか「アフロディーテ」実現したら絶対行きたい。)
美和子さんは旦那さんの触れる美を感じたかった、解りたかった、共有したかったのかな。
元々美しいものがお好きで、心がふかふかでいらっしゃる。
とある重大任務を課されたのも、その感受性からなんだろうな。
田代は美和子さんの美術鑑賞をする姿を覚えていなかった、分析に懸命になってしまって。
最後の物語を通じて、分析的ではなくただありのままを感じる事を思い出せてよかったな。
・・・と書いてて、このご夫婦超絶ベストカップルなんじゃないか、と気付いた。
同じモノを観て、ありのままを真っ直ぐに感じられる人と、分析的に観られる人。
より幅広く理解出来るかもしれない。