社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

私のサイクロプス

今週は祝日にライブに飲み会と盛り沢山で曜日の感覚がおかしい。
明日明後日も盛り沢山。ちょっと怖い盛り沢山。

「私のサイクロプス」(山白朝子/角川文庫)読んだ。
各地の旅情報を纏めた本を書く旅本作家の和泉蠟庵と荷物持ちの耳彦、旅本の出版元で働き蠟庵先生のお手伝い・お金の管理をする輪の物語。
江戸時代っぽいけど、ちょっと違うような。「蟲師」みたいな感じだろうか・・・って読み始めたけど違うな、やっぱり。
蠟庵先生はよく道に迷う、真っ直ぐな道を歩いていても違う道に進んでしまう・・・これは「不毛」と呼ばれている。
ちょっと不思議な時間の流れ方をしている。
毎回迷って、怪異に遭遇するのが恒例の物語であるが、蠟庵先生以外もよく道に迷って分かれてしまう。
「私のサイクロプス」では輪が、それ以外では耳彦が分かれてしまって、様様な怪異に出会うのである。
耳彦は「やってはいけない」事をやってしまうし、お酒好きだし、持たされたお金は増やそうとして逆に失ってしまう。
そういう”弱さ”に、怪異やら何やら入り込んでくるんだろうか。
巻き込む人間も、欲に囚われている、そしてちゃあんと”した事”以上の事が反されている。
だけど悲しい。還らない人・モノばかりだ。

あるあるな話なのに満ち足りる。文章が美しいからかな。筆ですうっ、と描いた絵のよう。
ちょっとグロいのがあの人らしい。

「エムブリヲ奇譚」は、この前段の物語なのかな。読まねば。
輪の物語も気になるところである。