社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないので、はてブボタンは設置してません。

バベル九朔

先日の物販のおみかん”はるみ”が美味しかったので、見かけたら買おうと思っている。
で、美味しかった話をしたら「食べ物の物販の話多いよね」と言われる。
そうだっけ?とよくよく思い出してみれば、ファブリックシアターの先行物販で目の前で次々とポップコーンが売り切れていく様を実況中継した相手なのだった。

「バベル九朔」(万城目学/角川文庫)読んだ。
祖父”大九朔”が建てた”バベル九朔”なる雑居ビルの管理人をしながら作家を目指す主人公が、”バベル”を巡り迷い込んだ世界(ビル)の階段を只管上がっていく話。
ネタバレあるかも。





夢をきちんと終わらせる為の物語、だと思った。
夢という欲望をどうするのか。
主人公は”大長編”を書き上げて新人賞に応募しようとするが、タイトルが決められない。
迷い込んだ世界・・・”バベル”は過去に”バベル九朔”に入居したが上手くいかなかった、”無駄”になったテナント達を積み重ねて出来ている。
カラス女は「大九朔がバベルの源を得る、”無駄”を見る為に次々にテナントを入れた」と告げる、しかしそれでだけではない事に”俺”は気づいている。
大九朔は”俺”に夢を見ろ、見続けろ、と誘惑するが、それじゃダメな事にも気づいている。
繰り返しても繰り返しても、いつか終わりは来る。無駄を見る事にも終わりは来る。
きちんと終わらせる為に、”俺”は大九朔に「俺は、戻る」と告げ、バベルの管理人となり、バベルの崩壊を阻止する為に自分の”未来”を空に放つ。
”未来”はコピーを取っていない”大長編”である。
二度と書けないという事はないのだろうけど、恐らく同じモノは出来上がらないと思う。
・・・と書いてて、”大長編”もバベルなんだな、「未完成が完成なんだってね」*1という事か。

*1:9mm Parabellum Bullet「バベルのこどもたち」の歌詞だ