社会学的ラブソング・改

音楽と本とお茶と美味しいものと面白いもので出来ている。あんまりはてブされたくないです・・・。

荒神

荒神」(宮部みゆき新潮文庫)読んだ。
元禄時代の、東北の(恐らく架空の)村の物語。福島の安達太良山あたりなのだろうか。

以降、ネタバレあるかも。

謎の怪物が山村を襲い、惨たらしく人々を食らい、殺していく。
生物は人の悪意から生まれたような存在だが、震災のメタファーなのかも。震災を巡る恐怖・不安・悪意も含めた。
隣り合う永津野藩と香山藩、それぞれの事情から現地に近い村に主要人物がやってくる。
それぞれの事情が重なりつつ、そんなこたぁ関係なく怪物は人を襲う。
怪物の容赦の無さもだけど、”それぞれの事情”で追いやられていく人達が不憫でなぁ・・・また”登場人物が不憫”病の発作で5ヶ月くらい読めずにいてしまった。
でもそれぞれが必死で、「どうあらねばならぬ」より「どうあるのがより良いのか」に向けて行動していく。
それがなかなか伝わらない、難しい。
朱音の決断・行動、それを認めた人達の良心の積み重ねによって怪物を退治する事が出来たが、兄にそれは通じたのだろうか。
悲しい中で、一番よい決断だったんだろうと思う。

どうでもいいニュース:
樋口監督の解説で「もし映画化するなら」が考えられているが、やっぱりそこは安達太良山らへんでロケやって欲しい。
大変だろうけど、そうやって福島の良さ・頑張りを映画で教えて欲しい。